Q&A(事例)

遺留分問題の事例をご紹介します。

「遺産の管理をしている人物がいて、何も教えてくれない。」
遺言
わからない。
遺留分減殺請求者
長女
遺産
貯金、不動産など
結婚して家を出た私(長女)の実家は長男である兄が継いでいました。
父が亡くなった後、兄に遺産の事を聞いても一切教えてもらえず困っています。
遺言があるのかさえもわかりません。

今回のケースは、

公証人役場で、公正証書遺言の有無を確認してもらうと、「長男にすべて相続させる」という公正証書遺言がありました。
そして長男に、遺産目録の作成と交付を求める内容証明郵便を送付しましたところ、遺産目録が開示されてきました。

遺言があり、遺留分があることもわかりましたので遺留分減殺の意思表示を行い、協議交渉の申し入れを行いました。
協議の結果、遺留分を取り戻すことができました。

「提示されている不動産の評価額が低い。」
遺言
「長男に全財産を遺す」
遺留分減殺請求者
長女
遺産
貯金、不動産など
不動産の評価額が低いので上げてほしい

父親の遺言は「長男に全財産を遺す」というもので納得がいかず、自分で遺留分減殺請求の協議交渉を行っていました。
長男が提示している不動産の評価額が低く、上げてもらいたいのですが妥当な金額がわかりません。

今回のケースは、

まず相続税の評価額で算出されていたため、時価の評価を不動産業者に査定してもらいました。
一般的に時価は相続税の評価額を1〜5割程度は上回ります。

査定した資料を元に協議を求めたところ、相手側の弁護士と協議を重ね当初の評価額の1.3倍で解決することができました。

「遺言に不服があり、どうしたら良いかわからない。」
遺言
「長男に全て相続させる」
遺留分減殺請求者
次男
遺産
貯金、不動産
父親が亡くなり四十九日が終わった頃、兄から遺言を見せられました。
遺言には「長男に全ての遺産を相続させる」と書いてありました。

全くどうしたら良いか分かりません。

今回のケースは、

まずは客観的な状況を把握しましょう。
そして遺言が本当に父親によって作成されたものかを確認します。
また、遺産の内容がどんなものかも詳細に確認します。遺言は実際に父親が書いたもので、
遺産の内容は貯金が1,000万円と不動産(自宅)でした。

遺留分があることが確認できましたので、兄に対して遺留分減殺の意思表示を行い、
遺産の一覧表を作成して協議交渉の申し入れを致しました。

協議交渉を重ねた結果、現金・不動産のそれぞれ4分の1を遺留分として取り戻すことができました。

「調停委員が公平な進行をしてくれません。」
遺留分減殺請求者
長女
兄に対して遺留分の精算を求める調停を自分で進めていましたが、調停委員がこちらの言い分を聞いてくれません。
調停委員が相手に有利な進行をしているように思えます。

今回のケースは、

詳しくお聞きしたところ、確かに調停の進行方法としては疑問のある進め方をしていました。
事実として、調停委員の性格や能力の問題で「良い調停委員」と「悪い調停委員」が存在します。
そして、「どうしても調停でまとめたい」と思っていると調停委員から足下を見られるというのも現実です。

「裁判になっても構わない」、「裁判になった場合は弁護士に依頼する」という気持ちで臨んで頂く事で
調停委員の対応が変わり、公平な進め方に変わりました。

「遺産を隠されていた場合」
遺留分の増額請求者
次男
遺産
生前贈与されていた不動産
遺産目録にある以外にも不動産があるはず

父親が亡くなり、兄に対して遺留分の請求を行いました。
しかし、私の記憶では「父親は複数の不動産を持っていたはず」なのに遺産目録の記載には、
自宅不動産と少しの貯金しかありませんでした。
他の不動産について兄に聞いたところ「遺産はこれだけだ」と言うのです。

今回のケースは、

他にも財産があるかどうかを調査しなければなりません。
証明しようにも兄は意図的に隠していたため、弟に昔の記憶をたどって頂き、どの辺りに不動産があったかを思い出してもらいました。
その結果、不動産を処分していた事がわかりました。
法務局にて調査をしたところ、10年前に父親から兄に土地が贈与され、すでに売却されていたことが判明しました。

遺留分を算定する元となる遺産には、生前贈与されたものも含まれます。
この生前贈与されていた不動産を含めて遺留分の計算をすることを求め、遺留分の増額を得ることができました。