◆遺留分減殺請求できる額の計算方法
遺留分割合や基礎財産をもとに遺留分の額を計算します。
<計算式>
遺留分額 =
遺留分算定の基礎財産 × 個別的遺留分(=総体的遺留分の割合 × 法定相続分の割合)
※実際には遺留分権利者がいくらかは相続をしていたり、
または特別受益や遺贈を受けていたりしているというケースもあります。
具体的にいくらの遺留分減殺請求ができるかは、上記のような各事情も考慮します。
この実際に遺留分減殺請求できる額のことを、遺留分侵害額と呼びます。
<計算式>
遺留分侵害額 =
遺留分額
-(遺留分権利者が被相続人から相続した財産額- 遺留分権利者が相続によって負担する相続債務額)
-(遺留分権利者の特別受益額 + 遺留分権利者が受けた遺贈額)
◯算定
算定の基礎となる財産は被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して算定する(1029条1項)。
◯財産の範囲
遺留分は被相続人の財産を基礎として算定されるため、まず算定の基礎となる
被相続人の財産の範囲を確定することが必要となる。
◯財産の価額
被相続人が相続開始の時において有した財産の価額
条件付権利または存続期間の不確定な権利については、家庭裁判所が選任した鑑定人の
評価に従って、その価格を定める(1029条2項)。
算入すべき贈与原則として相続開始前の1年間にしたものに限り、その価額を算入する(1030条1項)。
当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、
1年前の日より前にした贈与についても、その価額を算入する(1030条2項)。
「贈与した財産の価額」は、相続開始時の貨幣価値に換算して評価する(最判昭和51年3月18日民集30巻2号111頁)。
1044条の準用規定により、903条1項に定める相続人に対する贈与は、1030条の要件を満たさないものであっても、特段の事情のない限り遺留分減殺の対象となる。
(最判平成10年3月24日民集52巻2号433頁)
◯遺留分の額
具体的な遺留分の額については、遺留分算定の基礎となる財産額に1028条で定められた遺留分の割合を乗じ、遺留分権利者が複数であるときは遺留分権利者それぞれの法定相続分の割合を乗じ、さらに、遺留分権利者が特別受益財産を得ているときにはその価額を控除して算定する。
(最判平成8年11月26日民集50巻10号2747頁)